ペインクリニック

慢性の痛みでお悩みの方、ペインクリニック外科をご存知ですか?

神経ブロックとは

慢性の痛みのある場所では様々な発痛物質が作られています。この発痛物質は痛みだけでなく、その場所の血管を収縮させ、血液の循環を悪くして酸欠状態にする作用を持っています。血液の循環が悪くなると、さらに発痛物質が作られ、これがまた血液の流れを悪くするという痛みの悪循環を形成します。

痛みの原因となった元の病気は治っているのに、この悪循環が残っている為、慢性の痛みとなります。ここで神経ブロックを作ると血管が開き、発痛物質が少なくなります。

星状神経節ブロックについて

首の左右の付け根にある交感神経節を星状神経節といい、ここに局所麻酔薬を注射します。

交感神経の働きによって血管は開いたり閉じたりします。

注射により交感神経がブロックされると、頭のてっぺんから大体脇の下くらいまでの血管が開きます。

この血流増加作用の為、花粉症、顔面神経麻痺、突発性難聴、メニエル病、レイノー病など痛み以外の病気にも適応があります。

硬膜外ブロックについて

1.硬膜外とは

脳から出た脊髄は、首から腰にいたる脊柱管の中を、通って行きます。その脊髄は、くも膜と硬い丈夫な硬膜で覆われて保護されています。その丈夫な硬膜の外側を硬膜外腔といい、場所により2~5mmの幅があり、ここが略して硬膜外で、ここに局所麻酔薬を入れます。そして神経の伝導を遮断するという意味でブロックという言葉を使います。

脊髄から体のあちこちへ出て行く末梢神経は、硬膜を貫き硬膜外を必ず通って枝分かれしながら、内臓や筋肉や皮膚へと分布していきます。

脊髄にする注射と思っている方がいますが、硬膜の外側に薬を入れるのであって、脊髄や末梢神経に直接注射をするのではありません。

2.注射方法

ベッドの上で横向きになり、ひざを抱え込むようにして、えびのように背中を丸くします。次に、背中を消毒して、ブロック針を入れる時の痛みを取る痛み止めの注射をします。ブロック針を進め、硬膜外腔の手前にある黄靭帯という非常に硬い靭帯に針を当てます。当たった事は針を進めるのに抵抗がかかるので分かります。

ここでブロック針に生理食塩水を入れた小さい注射器をつけ、黄靭帯の中を注射器に指で圧をかけながらゆっくり慎重に針を進めます。黄靭帯の中には、圧をかけても硬くて食塩水を入れることは出来ませんが、黄靭帯を通り過ぎ硬膜外腔に入ると急に圧が抜け、食塩水がスッと中に入ることで、硬膜外腔を確認します。

3.使用する薬剤と作用

ケガをして皮膚を縫う時や、歯の治療の時に使う一般的な痛み止め、つまり局所麻酔薬を硬膜外に注入します。局所麻酔薬の効果時間は、皆さんも経験されて知っている方も多いと思いますが、せいぜい2時間位です。

ではなぜ、たった1回の硬膜外ブロックで完全に痛みが取れてしまう人がいるのでしょう。
慢性に痛んでいる場所は、様々な痛みを起こしている物質が出ています。これらの発痛物質は血管を収縮させ、その場所の血流も悪くしています。血流が悪くなると、さらに発痛物質が出て、痛みの悪循環を形成しています。

脊髄から出た末梢神経の根元には、交感神経もネットワークを作っているので、硬膜外ブロックをすると、交感神経もブロックされます。交感神経は血管の収縮や拡張を制御するので、交感神経がブロックされると、血管が最大限に開き、血流が劇的に増加します。

4.費用について

保険の種類に応じて
治療箇所 1割負担 2割負担 3割負担
頸部・胸部 1500円 3000円 4500円
腰部 800円 1600円 2400円
仙骨部 340円 680円 1020円

※上記費用に加えて初診料または再診料、レントゲン料などがかかります。

5.画像検査

追加でMRI検査・CT検査が必要と判断した方は、近医の連携している整形外科、放射線科へとご紹介させて頂き、適切に早期診断をおこないます。

トリガーポイント注射について

トリガーとは引き金とか起動という意味です。つまり押すと痛いと感じる場所に、正確にピンポイントで注射を行います。

超音波ガイド下ブロック について

エコー装置を用います。筋肉、筋膜、神経をモニター画面上にリアルタイムで見ながら、目的とする場所にブロック注射を行います。

筋膜リリース について

ハイドロリリース、ファシアリリースとも呼ばれています。
前述のトリガーポイントは主に筋膜にあると考えられておりますので、トリガーポイント注射と似ています。しかし、筋膜リリースは注入するものが違います。筋膜リリースで用いるのは主に生理食塩水という水です。エコー装置を用いながら、筋膜の間に水を注入し、筋膜をリリース(解放)していきます。

ちなみに、ハイドロとは液体・水の事です。ハイドロ(液体・水)を使って、筋膜やファシア(筋膜・筋膜以外の薄い膜などの総称)をリリース(解放)するということで様々な呼び方があります。

帯状疱疹(いわゆる胴巻き)について

皆さんは、帯状疱疹(いわゆる胴巻き)ができたとき、どこの科に行きますか。

皮膚にぶつぶつができて痛むので、多くの方は皮膚科に行くと思います。が、実はこの病気は皮膚ではなく、神経繊維の病気なのです。子供の頃にかかった「みずぼうそう」のウィルスが、誰でもそのまま脊髄の神経節にずっと潜んでいます。そして、加齢や免疫力が落ちたときなどに、再び活動を始め、その脊髄から出る末梢神経に沿って神経繊維を蝕んでいきます。その神経の末端が皮膚なので、そこにぶつぶつができるのです。

当院では帯状疱疹のウィルス検査キットを用いて、迅速に正確に診断をおこないます。そして、薬物療法を速やかに開始し、必要であれば早期より神経ブロックを行うことも可能です。

帯状疱疹は大変痛い病気です。帯状疱疹を起こした原因のウィルスをやっつけても、帯状疱疹後神経痛という大変厄介な痛みへと移行してしまう方が残念ながらいらっしゃいます。とにかく帯状疱疹を疑ったら早めに病院を受診してください。

このように大変な帯状疱疹ですが、この病気にはワクチンがあります。50歳を過ぎたら是非接種されることをお勧めします。当院では乾燥弱毒生ワクチンとシングリックスの2種類のワクチンから選ぶ事ができます。いずれも事前予約が必要です。